南箕輪小学校 製材所見学

お久しぶりの更新となりました、堤です。

 

9月に入り、朝晩は涼しく秋めいてきましたね。

 

さて、今日は南箕輪小学校の5年3組の皆さんが製材所見学に来てくださり、実際の製材や加工の様子を見ていただきました。

 

 

はじめは緊張の面持ちで、恐る恐る製材機の方に近づいていく子どもたち。

 

スタッフと一緒に、製材された板を運んでみたり

 

直接話を聞いてみたり

 

↓モルダーで加工する様子も見てもらいましたが、
加工前と加工後の手触りの違いに驚いていました。

 

次第に木との距離が縮まっていく子どもたち。

製材したての木を五感で楽しんでいただけたことと思います。

 

製材されていく一枚一枚の板をじっくり観察している子、
スタッフの動きをじっくり見る子、質問している子。
見たこと感じたことを熱心にメモを取り、
中にはスケッチで表現している子もいました。

 

先生方含め大人も子どもも
熱心に製材所の仕事を知ろうとしてくれている姿に、
とてもうれしく思いました。

 

木が身近な環境で暮らしていても
実際に木が製材されるところを見て、
家の一部になるという過程を知る、ということは
なかなかない貴重な体験だったのではないでしょうか。

 

この経験が、未来ある子どもたちにとって
森や木に興味を持つきっかけになってくれたら幸いです。
またいつでも遊びに来てくださいね。

 

有賀製材所ではこうした見学も随時受け入れしております。
お電話にてお気軽にご相談ください。

 

 

2020年(令和2年)の振り返り

 

2020年(令和2年)がもうすぐ終わろうとしています。

 

今年初めの時点では、コロナ禍による緊急事態宣言、外出自粛令の発令、学校の休校、オリンピックの延期など、誰も想像し得なかった激動の一年となりました。

 

経済活動の自粛に伴い、特にインバウンドを始めとする観光業界、それから飲食業界の皆様のご苦労は、想像を絶するものがあったと思います。

 

私たちの置かれた建築業界も、一時海外からの資材流通が滞り、工事がストップする事態に見舞われたこともありましたが、それでも全般を通じては、忙しく仕事をさせて頂き、コロナ禍の影響をまともに受けた他の業種に比べれば、恵まれた一年であったと、本当に感謝の気持ちを込めてこの一年を振り返ってみたいと思います。 ※長文です

 

 

 

先ずは【建築編】

 

春のGW前後から、例年にも増してウッドデッキ材の注文を沢山頂きました。施工まで含めた注文以上に、「材料だけ」の注文が多く、緊急事態宣言下で外出出来ずに、この際自宅のウッドデッキを張替えようか・・・といったケースが多かったと思われます。

 

 

突然飛び込みでやって来られたお客様。住宅は別の会社さんで施工したそうですが、デッキだけは自分たちで作りたいと、色々探して弊社に連絡を頂きました。

材料の木取りや施工方法など何パターンか一緒に考え、最終的に素敵なデッキが完成しました。

 

 

 

カラマツ材のウッドデッキ

 

 

材料だけ買われて、GWにご家族総出であっという間に張り替えたヒノキのウッドデッキ。

 

 

 

こちらは以前のウッドデッキが20年以上経って、ずいぶんとくたびれてきたので、新しく貼り替えです。娘さんの里帰り出産に間に合って良かった!

 

 

 

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薪棚(薪小屋)の工事も幾つも注文いただきました。

 

材料の手配と加工(プレカット)、基礎工事まではこちらで段取りし、塗装と組み立てはご自分でやって頂くことで、多少なりとも工事費を下げられます。

 

 

 

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住宅の「リフォーム工事」。

 

秋に施工させて頂いた、お風呂の改修工事。

 

 

 

脱衣場と浴室の段差を無くし、更に浴室暖房機を付けました。

今までの浴室とは比べ物にならないくらい、温かく快適になったと仰っていただきました。

 

 

 

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夏に工事をした、大規模なリフォーム工事。

 

コロナ過の影響で職を変え、都会から実家へ戻ってくる娘さんのために、主に水回り(浴室、台所、洗面所、トイレ)を中心に全面改修しました。

 

 

写真では分かり辛いですが「内窓樹脂サッシ」を取り付け、窓の断熱性能を上げています。

 

 

キッチンはタカラスタンダードの新製品

 

 

 

 

洗面カウンターは「ハンノキ」、陶器はTOTOの病院流しを使用。洗面用途以外にも、靴や汚れ物もじゃぶじゃぶ洗える農家さんならではの使い方です。

 

 

 

 

職人さんに色々教えてもらいながら、ストーブの炉台に自分たちで集めたモザイクタイルを貼ったりと、今流行りのDIY女子さん。一緒に仕事をするのがとても楽しかったです。

 

 

 

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ほんの一例を掲載させていただきましたが、それ以外にも、

 

◆ 屋根、外壁の塗り直し工事(多数)

◆ 古くなった建物の解体工事(多数)

◆ 瓦屋根の葺き直し工事

◆ お隣との境界に擁壁(ようへき)を作る工事

◆ ペチカ設置工事

◆ キッチン入れ替え工事

◆ etc

 

「新築工事」と併せて、本当にたくさんの仕事をさせて頂きました。

 

 

 

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次に、製材所のもう一つの大事な仕事【製材編】の振り返りです。

 

ここ製材所には、日々様々な丸太が持ち込まれます。賃挽き(ちんびき)と言ってお客さんが持ち込んだ丸太を指定のサイズに製材する仕事です。

 

高遠町で林業と木材屋さんを営まれているM木材さんからの賃挽き依頼。

いつも広葉樹を主に持ち込まれます。

 

 

上の写真は「ホウの木」です。

やや緑がかったキレイな色合いの木で、割と柔らかい木質のため、家具や彫刻、まな板などにも使われます。

 

 

伊那で個人で林業を営んでいるT島君の賃挽き依頼。

丸太の種類は「クヌギ」です。ナラとよく似たどんぐりの実がなる木ですが、ナラに比べると、一般的には価値(値段)が下がる木なのですが、挽いてみたら意外や意外、とてもキレイな杢目で素晴らしい板が取れました。

 

 

 

箕輪町で木製の自転車を製作されているY田さんからの賃挽き依頼。

薪にするつもりで取っておいたナラの木ですが、あまりにも立派で勿体ないということで製材することに。こちらも素晴らしい板が取れました。

 

 

上記の方々は、たまたま写真があったため紹介しましたが、それ以外にも、日々本当に沢山の皆さんが丸太を持ち込んで下さりました。

 

 

伊那の赤松丸太をもっと気軽に有効利用出来ないかということで、ホームセンターに置いてある「ツーバイ材」と同じサイズで製材・乾燥・加工して、ご自身で販路を開拓されているK平さん、

 

自分で林業もしながら、山で出たクリの丸太を製材して、フローリング材としてご自身で販売されているK井君

https://natanoko.exblog.jp/

 

 

その他、個人、会社に関わらず、沢山の方がこの製材所を訪れてくださいました。本当にありがとうございます。

 

 

 

地域材を上手に使って、人と山とを繋げる仕事をしている(株)やまとわさん

https://ssl.yamatowa.co.jp/からも、いつも賃挽きや、製品の注文依頼を頂いています。

上の写真は、(株)やまとわさんが、伊那の赤松材を使った家具ブランド「パイオニアプランツ」の宣伝で、今年の2月に東京で開催されたクリエイティブの祭典「rooms40」に出店した際の写真。

 

黒く見える床材が、弊社のクリのフローリング材。特殊な塗料を塗り、敢えて表面を削らずに「ラフ材」のまま実加工だけ施した製品で、最初は難しい注文だなと思ったのですが、出来上がった物を見て納得!

 

多少の虫食いや、節穴なんか全く気にならない、むしろそれらが豊かな表情を醸し出していて、新たな製品の可能性を気づかせて頂いた注文でした。

 

 

 

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今年は例年にも増して、林業会社さんから直接丸太を仕入れる機会が多くなりました。

 

コロナ禍の影響で、丸太市場でも例年に比べて取り扱う出荷量が少なく、寂しい市売りが続きましたが、伊那林業さん、上伊那森林組合さん、島崎山林塾さんなど、直接山側と繋がることで。安定的に丸太を仕入れることが出来ました。

 

 

 

 

 

 

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最後に、伊那谷を舞台に活動を始めた「伊那谷フォレストカレッジ」の活動に混ぜて頂いたことも大変有難いことでした。

https://forestcollege.net/

 

今、様々な分野から製材所が注目されるようになってきましたが、それは製材所が、川上(丸太生産者)と川下(木材消費者)を繋ぐ重要な立ち位置に居るからです。でも、逆に言えば、我々製材所だけでは何の仕事もできないのです。山を守り丸太を生産してくれる林業家たちがいて、初めて成り立つ仕事です。

 

伊那谷の豊富な森林資源を、建築や木工といった分野だけでなく、教育、観光、飲食、様々な業種の皆さんと一緒になって森の価値を高めていく活動を、我々製材所がどのようにお手伝い出来るか、来年以降の大きな課題として考えていきたいと思っています。

 

 

今年一年、本当に沢山の皆様に支えられ、仕事が出来ましたこと、改めて感謝申し上げます。

また、今現在工事中、又は計画中のお施主様、来年以降も引き続きどうぞよろしくお願いします。

 

 

拙いブログではありますが、今年もお読みいただき有難うございました。

来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

株式会社有賀製材所 代表取締役 有賀真人

 

 

 

 

鱗  秦基博/Bank Band

https://www.youtube.com/watch?v=V3IBokFh29Q

 

 

 

 

製材所見学

 

 

ここ数年「製材所を見学したい」という要望が増えてきました。

 

先週は、伊那市東春近にある「山の遊び舎はらぺこ」のみんな達。

 

毎年、園舎の裏山の木を自分たちで切り出してきて、その丸太をうちで製材して木工の材料にしています。

 

 

 

今年は保護者の皆さんも一緒です。

大人だって製材所に来るのは初めての経験。子どものように、、、いやそれ以上に興奮した様子で食い付いて見ています。

 

 

 

今日は「上伊那農業高校」の生徒さんたち。

帯鋸(おびのこ)と呼ばれる直径2m以上もある大きな鋸刃が回り出すと、隣の人の声が聞こえなくなるくらい大きな音に包まれます。

 

実際に製材機に乗っての製材体験。

よその製材所では、なかなかやらせてくれないかもしれませんね。

 

 

写真にはありませんが、昨日は「伊那小学校」の5年生のみんな達も見学に来てくれました。

みんな食い付くように真剣に見ていて、沢山の質問も飛び交い、写真を撮るのを忘れる位でした。

 

 

大きな音に、最初は驚かれますが、慣れてくると、迫力ある製材の風景にみんな釘付け。

 

丸太を挽くときの木の匂い、

製材したばかりの、しっとりとした木肌の感触、

 

製材所で、一本の丸太が姿、形を変え、

無駄なく全て使われていく様子を、まさに五感を使って感じ取っていかれます。

 

 

この記憶の種が、いつの日か芽吹き、

林業、製材、木工、建築・・・

 

一人でも多く、森や木に携わる仕事を目指してくれる子どもたちが増えるといいなぁ、

そんな思いで、製材所見学を受け入れています。

 

 

夏の終わりのハーモニー  井上陽水/玉置浩二

https://www.youtube.com/watch?v=WCSeiSOaHxY&list=RDWCSeiSOaHxY&index=1

 

 

 

 

 

 

長和町小林木材(株)様へ見学

ちょうど1ヶ月ほど前になりますが、長和町にある小林木材(株)さんへ、製材所の見学に行ってきました。

小林木材さんはカラマツ材をメインに製材する、県内でも有数の製材所です。http://www.koba-moku.co.jp/

 

うち(有賀製材所)も、かれこれ30年、カラマツ材を積極的に扱ってきただけに、他の製材所がどんな風に製材しているのかとても興味がありました。

場所は、伊那から行くと和田峠を越えた向こう側(旧和田村)にあり、周りを緑に囲まれた自然豊かな所です。

事前に社長に電話で見学の申し出をした際には、「いやー うちなんかに見学に来てもあんまり見るとこはないよー(笑)」何ておっしゃっていましたが、実際に行ってみると何棟もの工場・社屋が建ち並び、あちこちに立派な信州産カラマツ丸太がゴロゴロと積み重なっていて、のっけから興味津々の我々スタッフたち。

 

早速小林社長が出迎えてくださり、工場の中を案内して頂きました。

現在の小林基英社長は2代目で、息子さん、その他十数名の従業員と共にカラマツ材をメインとした製材、請負、様々な製品の製造を行っています。

カラマツの構造材(梁・桁材)

うちは構造材に関しては天然乾燥主体でやっていますが、小林木材さんは木材乾燥機3台をフルに活用して、より安定して乾燥材を供給出来る体制が整っています。

 

上の写真は木材乾燥機へ熱源を供給するためのウッドボイラー。以前は燃料に灯油を使っていた時期もあったそうですが、工場から排出される端材や木の皮などを燃料とすることで、今では灯油を使わずに24時間体制で木材乾燥機を稼働させているとのこと。この徹底ぶりは実はスゴイ事で、なかなか真似できません。

 

 

 

戦前から戦後にかけて、成長が早いという理由で特に長野県内では積極的に植林されたカラマツですが、ねじれやヤニの問題、更には海外からの外材に押され、世間一般的には、” カラマツなんて ”と言われ、建築用材としては敬遠されることの多い材でした。

でも本当は大変優れた木なのです。赤身の美しい木目、優れた木材強度と耐久性は他のどんな木材にも負けません。カラマツの欠点と言われる「ねじれ」も、上の方の写真にあるような大径木であればそれほど心配なく使えます。

最近はカラマツの需要が増えてきて、特にここ数年で全国の合板工場がこぞってカラマツ材を仕入れるようになりました。合板とはいえ建築用材としてのカラマツ需要が増えるのは悪くないことですが、でもやっぱり我々製材所を営む者からすると、出来れば無垢の木材を使いたい、使って貰いたい思いが強いのです。

うちも長いことカラマツ材を扱ってきましたが、小林木材さんでも同じように、イヤうちよりももっと多くのカラマツ材を積極的に扱っている姿勢に大変心強いものを感じました。そして、普段よその製材工場を見ることが少ない我々にとって、色々と刺激を受けた見学会になりました。

 

最後に小林社長(右から2番目)と記念写真。とても気さくな社長で、じっくりと時間を掛けて会社内のあちこちを丁寧に案内してくださいました。お忙しい中にもかかわらず気持ち良く迎えてくださり、本当にありがとうございました。

有賀製材所 有賀真人