千年餅

 

昨年秋に着工した駒ヶ根の新築現場。

 

 

建築設計室ヴェクトルの倉田さんによる設計です。

 

 

12月に無事建前を終え、年が明けた1月吉日、改めて上棟式を行いました。

 

今回はお客様の希望で千年餅を投げることにしました。

前もってご近所さんに声を掛けてくれていたため、時間が近づくと皆さん集まってきてくれました。

僕らが子供だった頃は年に何度かこのような機会があり、その度にずいぶん早くから集まっては、屋根の上で作業している大人に向かって「早く餅投げてー」なんて叫んでいたものです。今ではすっかり珍しい風景になってしまいましたね。

 

 

 

 

それにしても、千年餅・おひねりに加えて、子供たちの喜びそうなお菓子もたくさんご用意頂いたので、投げる方も拾う方も大興奮!! 大人も子どもも無我夢中のひと時でした。餅投げってこんなに楽しいものだったかと改めて実感したのと同時に、ご準備頂いたお客さまに感謝!

一生に一度あるかないかのお建前、お客さまにとっても忘れられない思い出になったのではないでしょうか。

 

さてその後は、、、

春の完成を目指して、現在急ピッチで造作中。

 

地元アカマツ材で組んだササラ階段。もの凄く昇り易いです。

 

 

7種類の木を使った色々天井

 

地元の塗装屋さんが丁寧に着色してくれたヒノキの外壁。

完成までもう一息です。

 

リビルディングセンター(諏訪市)

 

先日、諏訪市にあるリビルディングセンターへ行ってきました。http://rebuildingcenter.jp/

 

リビルディングセンターは、今から4年前にデザイナーの東野唯史(あずのただふみ)さんが起ち上げた会社で、地元建設会社所有の古い鉄骨倉庫を借り受け、自分たちでリノベーションして見事に店舗へと蘇らせた、知る人ぞ知る古材を扱う専門店。

今回は店舗の一角に入れさせて頂いたペチカのメンテナンスで伺いました。

 

 

東野さんとの出会いは今から6年前、やはり東野さんがデザイン改修を手掛けられた下諏訪町にあるマスヤゲストハウスにペチカを入れさせていただいたのがキッカケでした。http://masuya-gh.com/ その時にペチカの温かさに惚れ込んでくれて、リビルディングセンターにも取り入れてくれたのです。

最後に顔を出してから約2年ぶりの訪問でしたが、その間にお店の方も随分とパワーアップしていました。

県内各地から引き上げてきた古材が所狭しと並んでいます。

 

また、古材だけでなく古道具や古家具なども置いてあり、古いものが好きな方にはよだれが出そうな空間です。

 

1階のカフェではスタッフさんが美味しそうなカレーの仕込み中。何とも言えないスパイシーな香りが漂っていて、ちょうど夕方のお腹が空く時間帯だったのでお腹がグーグー(笑) 次回は必ず食べるぞ!!

 

ところで、東野さんは昨年自宅として購入した民家を「断熱リノベーション」したそうです。信濃毎日新聞にも大きく記事として取り上げられたので僕も知ってはいましたが、これからの時代は古い家の改修にも「断熱」が大事だという話でしばし盛り上がりました。

実は最近いろんな所でいろんな方と、この「断熱改修」が話題に上がります。これからの時代古い建物を直して住み続ける動きが益々加速していくハズ。古い家でもちゃんと手を入れれば新築と同様に快適に過ごすことが出知ることを、我々設計者・施工者が先ず勉強しなければいけない時代が来ています。

 

 

最後に、、、

有賀製材所の近く(伊那市西箕輪大萱)に昨年オープンした地ビールとピザのお店「伊那デイズブルーイング」https://www.inadazebrewing.com/ も東野さんがデザインを手掛けられたそう。 信大農学部卒の女の子がお店を切り盛りしています。一度友人と行きましたがピザがとても美味しかったです。興味があれば是非!

 

 

ヴェクトル展「ふだん木の暮らし」のお知らせ

 

建築設計室ヴェクトル代表、一級建築士 倉田政人さん設計の住宅内覧会が、2/22(土)・23(日)に伊那市内で開催されます。

 

倉田さんとは、うちから設計をお願いしたり、また倉田さんが設計した住宅をうちで施工させて頂いたりと、もう15年以上の長い付き合いになりますが、この度、二年前に完成した倉田さんの自宅を開放して、地域材を使った住宅と薪を燃料にした温熱供給システムの内覧会を企画されたとのことなので、是非一人でも多くの方にご覧頂きたく告知させて頂きます。

住宅に使用した木材の多くを地元の木を使っています。若手林業士 金井渓一郎さんに丸太の供給を依頼されて、市内で伐採されたアカマツ、カラマツ、スギ丸太をうちに持ち込み、製材・天然乾燥・二度挽きを経て住宅の構造材として使用しています。

また、高性能ウッドボイラーを導入し、住宅で使用する給湯・暖房全ての温熱を「薪」で賄っている点も大きな見所の一つです。今のところは1軒だけへの温熱供給ですが、将来的にはあと2軒分を賄う計画となっているようで、森林と暮らしが密着しているこの地域だからこそ出来る取り組みで、これから注目の小規模型地域熱利用の先駆け的な事例ではないでしょうか。実際に1年半稼働させてみた結果もとても興味深いところです。興味がありましたら是非お気軽にお越しください。

 

 

 

 

ペチカ煙突のつまり

 

昨年暮れのことですが、ペチカがうまく燃えずに煙が室内に逆流してしまう との電話をもらいました。

話しをしていく内に、今から20年近く前にペチカのみを施工させて頂いたお客さんであることを思い出しました。煙突掃除を最近いつしたか聞くと、シーズン前に業者に見てもらったとのことなので煙突の詰まりが原因では無いと思われます。

煙が室内に逆流する原因は煙突の詰まり以外ではほぼ一つ。室内(ペチカ内部)と外気との温度差が無い場合に熱と煙がうまく煙突内部を上昇せずに室内に逆流するパターン。

外気がまだそれほど寒くないシーズン始めなどに、窓を閉め切った状態でかつ台所などの換気扇が回っている夕方時に良く起こる現象で、要は室内の気圧が負圧になっているため煙が煙突を昇っていかずに逆流してしまうのです。大抵は近くの窓を開けて空気を取り込んでもらえれば解決するので、今回のケースもおそらくそれが原因だろうと思いましたが、この状況が何日も続いているということが引っかかり、また随分とご無沙汰していたこともあり直接伺うことにしました。

早速次の日、普段ペチカを焚かれているというお婆様と煙が逆流する仕組みなどを話しながら慎重にペチカを焚いてみました。もちろん近くの窓も開けて空気を確保した上で。

それなのに、確かにペチカの焚き口や掃除口金物のすき間から煙が逆流してくるのです。火の燃え方も全然勢いが無く明らかに何処かがおかしい。煙がモクモクと充満する中、一旦燃えだした焚口の薪を何とか外に出して、もう一度ペチカの内部を覗いてみるも、これと言って問題になるようなところは見当たらない。もしかして煙突の中に何か詰まっている可能性も捨てきれないため、煙突直下の掃除口を開け、下からスマホで煙突内部の写真を撮ってみたところ、、、

 

煙突掃除をしたというのに、しっかり詰まっているではないか!!

どうやら普段からダンパーの開閉をしないまま、半開きの状態のままでペチカを焚いていたことが判明! 煙突掃除もダンパーをしっかり開けないまましたらしく、せっかく掻き落としたススがダンパーのところでせき止められていたのでした。

下から細い鉄棒を突っ込み、手探りで詰まっていたススを掻き落としたところ、出るわ出るわ! これだけ詰まっていればそりゃ燃えないわ!! ってくらい出ました(苦笑)

 

 

 

 

引き渡し時にペチカの焚き方を説明して依頼、その後一度も顔を出す機会が無いまま来てしまったこともあり、お客さんも今一つきちんとしたペチカの焚き方をマスターしないまま何となく使い続けてしまった結果が今回のケース。 今回は幸いにして弊社に連絡を頂けたので解決しましたが、知らずにそのまま使い続けることで重大な事故に繋がることだって可能性としてはあり得ると思います。 ペチカの焚き方は、他の薪ストーブと同じで「こうでなければダメ」といった決まりがあるわけではなく人それぞれの焚き方・楽しみ方があって良いと思いますが、最低限の焚き方や手順・ルールがあることも事実です。今回の出来事を期に、私たちも再度ペチカのお客さんに対して適切なアフターフォローが出来ているか見直す必要があると感じました。

 

因みにペチカを使う上で特に気をつけるポイントは大きく二つ。

一つ目は何と言っても「薪の乾燥」です。これはペチカに限らず薪ストーブ全てに言えることですが、生っ木の薪を焚き続けると、てきめんにペチカ本体や煙突の内部が汚れます。上記写真の煙突内部にも黒光りするススがびっしりと付着していますが、これは未乾燥の薪の水分がタール(木酢液)となって滲み出て固まったものです。煙突内部にこれらが溜まっていき、ある時発火して煙突の中で激しく燃え出すのが「煙道火災」です。薪ストーブの火災原因の圧倒的第一位がこの煙道火災によるものです。

二つ目は、ある程度「勢いよく燃やす」ことです。ペチカ本来の暖房能力を最大限に発揮させるには、いかに本体レンガに多くの熱を蓄えられるかに関わってきます。その為にはある程度勢いよく燃やすことが重要になってきます。火持ちよりも「火力」なのです。長時間でなくて良いので勢いよく燃やすことでレンガに多くの(高温の)熱を蓄熱させる。火が消えればダンパーを閉じて温かい空気を逃がさないようにする。これが有賀製材所で作っているペチカの基本的な焚き方です。

一番いけないのは、乾燥の甘い薪を長時間トロトロと焚き続けることです。これをやるとてきめんにタールがこびりつき、酷い場合はレンガの目地から外に染み出てきてレンガを真っ黒に汚します。煙突からも常に煙がモクモクと出続けるため良いことが一つもありません。

 

 

乾燥さえしっかりしていれば薪の種類は問いません。よくマツなどの針葉樹はヤニっ気が強く薪には向かないのでは、という意見を耳にしますが、乾燥さえしっかりしていれば全く問題ありません。むしろ、燃焼温度が高い針葉樹の方がより多くの熱をレンガに蓄えられるため、ペチカに向いていると言っても良いかもしれません。

そんな訳で、ペチカはしっかり乾燥した薪をある程度勢いよく燃やしましょう。火持ちより「火力」です! というのが今回のお話しでした。

 

最後に、事務所で毎日焚いているペチカ煙突内部の写真を1枚。

メチャメチャキレイです。因みに事務所のペチカを使い始めて10年以上経ちますが、煙突掃除は一度もしていませんよ。

それと、もしペチカの煙突掃除をご希望の方がおりましたらお気軽にお問い合わせください。上伊那地域内であれば大体2.5~3万円前後で専門の業者に見てもらえます。煙突の掃除だけでなく本体のメンテナンスも同時に見てくれますので、数年に一度のこと、安心を買うつもりであれば決して高くないと思います。